グーグルグラスとAndroid Wearの両方を体験したユーザーは、一体どのような感想を持つのだろうか──。グーグルという一つの企業が生んだ、2つの異なるデバイスは、その通知機能において、極めて似通った機能を持つことが以前から話題になっていた。
wear11
Android Wearの通知機能の代表例としては下記のようなものが挙げられる。

・バスに乗車中に目的地までのバス停の数を表示する
・Googleハングアウトでメッセージを確認する
・タクシーを待つ間、周辺の空車情報を表示する
・ビーチを訪れたユーザーに「クラゲに注意」というアラートを表示する
・お気に入りのスポーツチームの試合の結果を知らせる


さらに、“Ok Google”という音声コマンドに続き「アボガドに含まれるカロリーは?」と質問したり、フィットネスアプリと連携し、移動スピードや消費カロリーをリアルタイムで表示することも可能だ。
wear2
ユーザーのにコンクスト(状況)に応じた情報を適時に提供する点は、Android Wearもグーグルグラスも共通している。ニュースサイトGigaomによると「2つの製品の機能は、価格や社会への受容性が大きく異なる以外は、大きな違いは無い」とのこと。記者のKevin C. Tofel氏によると、

「一方は腕の上に通知する、もう一方は顔面に通知する。どちらもGoogle Nowなどのグーグルのサービスと非常にうまく同期する。大きな違いと言えば一方はカメラを持たず、一方はカメラつきという点。さらに199ドルと1500ドルという大きな価格差ぐらいだ」

wear3
Kevin氏はグーグルグラスを数ヶ月使い、そしてAndroid Wearを1週間試してみた結果「一つの企業がこれほど似通った製品を生み出したのを見たことが無い」という感想を述べている。

「Android Wearはグーグルグラスの数分の一の価格で、その機能を削り出した製品であることは間違いない。グーグルグラスに比べればAndroid Wearのほうが、一般に普及する可能性は高いだろう。個人的な予測ではグーグルグラスは、時代の先を行くプロダクトとして、業務利用向けに普及が進んでいくと思う」とKevin氏は分析する。

これに対しGeek.comのライター、Russell Holly氏は「まだベータ版であるグーグルグラスとAndroid Wearを比較するのはそもそも間違いだ。それに、両者にはそれぞれ置き換え不可能な機能がある」と延べ、下記のような主張を展開している。

「ここ1年ほど、ウェアラブル業界はポケットからスマホを取り出すことが、いかに面倒であるかを消費者に納得させようと試みてきた。その解決策として登場したのが数百ドルで売られるスマートウォッチだ。一方でヘルスケア業界は日々の体調のログをとることが、いかに健康管理に役立つかを吹き込もうとしてきた。現状のスマートウォッチは、そういう会話が飛び交う交差点のど真ん中に立っている。そしてAndroid Wearはその場所の王様(king)のポジションを狙っているんだ」

Russell氏もKevin氏と同様に「Android Wearはグーグルグラスよりも一般ウケする製品になることは確かだ」と予測している。

「Wear対応のスマートウォッチは、いかにもギーク向けのLGのデバイスから、セクシーなmoto360まで幅広い。製品は個々の企業がプロモーションを行い、数ヶ月もすれば量販店の棚に並ぶだろう。その一方、グーグルグラスは依然としてベータ版の状況がしばらく続くだろう。量販店での取り扱いは無いし、グーグル以外の企業によってプロモーションされる機会も無い。しかも、1500ドルもするプロトタイプに金を払うのはごく一部のハードコアなギークか、企業の研究担当者だけだろう」

と、ここまでの話を前提として、Russell氏がAndroid Wearの欠点として挙げるのは下記のようなポイント。

「G Watchはグーグルグラスのような、優れたナビゲーション機能を実現することは無いだろう。また、Android Wearの通知機能にも問題がある。ユーザーはTwitterや Google+を使ううちに、それが使い物にならないことに気づくだろう。Twitterで2つメンションがついたことが通知されても、それぞれのツイートを開いて中身を確認することも出来ないんだから」

その一方で、「グーグルグラスではタイムラインをスワイプで遡れば、個々のメッセージの内容を確認できる。同等の機能はWearにもほしいところだ」と述べている。

結論としては「Android Wearもグーグルグラスもウェアラブル技術の将来を担う存在であることは間違いない」というのがRussell氏の見解。

「現状のG WatchやSamsung Gear Liveが、スマートフォン好きなギーク以外におすすめできるかどうかには自信がないが、来年あたりにはテック好き以外でも楽しめるプラットフォームに成長すると思う」とのこと。

また、グーグルグラスに関しては「Android Wear以降のウェアラブル・コンピューティングに何が起こるかに関心があり、しかも、お金に余裕のある人はぜひ試すべきデバイスだ」と述べている。(Google Glass Info)

photo:android PT(flickr), gilipollastv(flickr)

Android Wear v. Google Glass: A battle of present and future computing — Tech News and Analysis

Android Wear and Google Glass are flawed concepts aimed at the future | Android | Geek.com