6月16日、グーグルはグーグルグラスをビジネス現場に活用する公式パートナー企業5社を発表した。これらの企業はグーグルが4月に開始した「Glass at Work」プログラムで選出されたもの。Glass at Workは米国に本拠を置く企業向けに、クオリティの高いソフトウェア開発を行う企業を世界から募集する試み。
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選出された企業はグーグルから開発支援が受けられるだけでなく、協同でブランディングを行う機会も与えられている。今回発表された5社の詳細は下記の通り。

Augmedix
スタンフォード大学OBの2名が中心となり、2012年夏に「世界初のグーグルグラスに特化したスタートアップ」として創立。当初からグラスの医療分野での活用に特化し、医師たちがハンズフリーで診察記録を残せるシステムを開発。「データの洪水の中で溺れかけている医師たちを、もっと患者と向き合える環境を整備すること」を使命としている。b
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今年6月にはベンチャーキャピタルから730万ドル(約7億3千万円)の資金調達に成功し、全米に40ヶ所の病院を展開する医療法人Dignityh Health社の診療現場に採用。医師たちはグーグルグラスを着用し、Augmedixの専用アプリを立ち上げて診療を行うと、音声やビジュアルデータがその場で患者の医療データとして記録される。これにより医師がEHR(電子医療記録)入力にかかる時間を、大幅に削減することに成功。一方で、患者との対話に充てる時間を、従来の倍に伸ばすという結果を生み出した。


GuidiGO
博物館や絵画展などアート系イベントに特化したグーグルグラスのソリューションで知られる企業。イベント来場者に対し、グーグルグラス上に絵画の説明を表示したり、音声によるガイド機能を提供。館内の施設情報なども表示可能。guidogo

APX Labs
グーグルグラス向けのライブ中継システム「Sky Box」や、工場のライン工程で利用される「Skylight」などのシステム開発で知られる企業。今回の5社の中では最も歴史が古く、過去にはターミネータビジョンと呼ばれる軍用ヘッドマウントディスプレイを米軍向けに提供。グーグルグラスだけでなくエプソンのMoverio向けのソリューションも開発中。4月にはベンチャーキャピタルのNEAから1000万ドル(約10億円)の資金調達に成功したことを発表した。APX


Crowdoptic
今年1月、NBAのサクラメントキングスの試合をグーグルグラスの主観映像を用い、ライブ中継したことで脚光を浴びた企業。同社のソリューションはNFLのイーグルスなど様々なスポーツ中継の配信に使用されるほか、6月にはカリフォルニア大学サンフランシスコ校で実施された外科手術のライブ配信も実施した。
Crowdoptic

Wearable Intelligence
グーグルグラスの医療向け利用の先駆けとなった、ボストンの救命医療病院(Beth Israel Deaconess Medical Center)との取り組みで注目された企業。医師が治療室内のQRコードを読み取ることで、グーグルグラスに患者のデータを表示。ハンズフリーで情報を取得しつつ、患者の治療に当たれるという仕組み。
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また、医療分野だけでなく産業分野では、世界最大の油田開発企業・シュルンベルジェ(Schlumberge)社に、作業員が油田探索の現場で使用するグーグルグラスアプリを提供している。

Glass at Work」プロジェクトが興味深い点の一つは、「米国に本拠を置く企業向けのソリューション」という条件を満たせば、日本や欧州、アジアからの応募も可能となっている点。今後は世界のスタートアップ企業がGlass at Workの“公式認定パートナー”の座を目指し、開発にしのぎを削る事態も想定される。

グーグルが公式に「サービスの品質の高さ」を認定するGlass at Workは、一部では、アップルが様々な連携デバイスの性能基準を保証するMFI認証プログラムに対抗する狙いもあると見られ、今後の動向が非常に気になるところだ。(Google Glass Info)