プライバシー侵害に関する懸念の高まりや、ユーザーがトラブルに巻き込まれる事件の発生など、Google Glassプロジェクトの先行きを懸念する声が全米で高まっている。そんな状況下、Googleは3月21日に「The Top 10 Google Glass Myths」(グーグルグラスに関する10の誤解)と題した文章を公式ブログを通じ発表した。

ここではその全文を一部要約しつつ紹介する。
walking with cell phones
1.グラスは究極の現実逃避ツールである

手元のコンピューターやスマホ、タブレットに視点を落とすこと無く、視界の上にあるモニターで情報を取得できるのがグラスの利点です。グラスは人生の全てを、常にスクリーンを通じて観察しようというデバイスではありません。グラスは通常はオフになっていて、必要な時にだけオンになる仕様です。必要な時に必要な情報だけを取得して、後はリアルな生活に戻るという使い方なのです。

2.グラスは常に作動し、全てを録画している

携帯電話と同様にグラスのスクリーンはデフォルトでオフになっています。動画の撮影時間は基本的には10秒。もっと長時間録画することもできますが、そもそもそういった使い方をするデバイスではないし、動画撮影の際にバッテリーは45分以上は持たないのです。

3.グラスエクスプローラーたちはテクノロジーを崇拝するオタクたちだ

エクスプローラーの中には子を持つ親もいれば、消防士もいます。動物園の職員や、醸造所の監督、映画学校の学生、医師といった多様な人々がグラスで実験を重ねています。彼らに共通しているのは、グラスを使うことによって、テクノロジーを意識せず、もっと自然なかたちで効率的な生活が過ごせるようになるという考えです。自分はテクノロジーなんかに囚われていない、と多くの人は考えていますが、電車や町中などでの人々の行動を見れば、我々がテクノロジーに支配されていることは明らかです。

4.グラスは完成品として市場に出ている

グラスは試作品であり、エクスプローラーや一般の方の反応を見つつ開発の途上にあります。これまでの11ヶ月間でユーザーからのフィードバックに基づき、9回のソフトウェア・アップデートと、3回のハードウェア・アップデートを行ってきました。今後さらに改良を重ね、磨き上げた製品を一般向けプロダクトとして発売しようと望んています。将来的には現状のグラスは、まるで1980年代の携帯電話のように不思議なものに見えるようになるかもしれません。

5.グラスには顔認識機能やその他の怪しい機能が搭載されている

それは間違いです。技術的に可能かどうかはさておき、我々はグラスに顔認識機能を持たせていませんし、そのような動作をするGlassware(アプリ)を流通させない決断をしました。妙な動作をするアプリが配布されているからといって、それがグーグル公式のMyGlassストアで配布されているわけではありません。我々は全てのアプリを審査し、人々を危険から守っています。

6.グラスは視界をカバーする構造になっている

「目の前をスクリーンで覆うなんて信じられない」。専門家を名乗る人がそんな発言をしている記事を最近読みましたが、その人は本当にグラスを試したのでしょうか。グラスのスクリーンは右目の上の一角に小さく見えるだけです。決して視界を覆うような構造ではありません。グラスは携帯電話のようにスクリーンを見下ろすのではなく、視界の右上を見上げて情報を取得するツールです。

7.グラスは完璧な監視カメラである

本当にスパイ目的のデバイスを開発するなら、グラスよりももっとましなやり方があるはずです。誰かをこっそり録画したいのなら、グラス以上に便利な製品がいっぱいあるでしょう。顔の上に装着され、音声コマンドを与える度に小さな明かりが点灯するようなデバイスよりも。

8.グラスは一部の裕福な人々のためだけのものだ

現状のプロトタイプの価格は1500ドルで、誰でも支払える金額とは言えないでしょう。しかし、だからといってリッチな人だけが入手したとは限りません。職場から提供された人もいますし、KickstarterやIndiegogoなどのソーシャルファンディングで資金を集めた人もいます。もちろん、誰かから譲り受けた人もいます。

9.グラスはあらゆる場所で使用を禁止されている

携帯電話が更衣室やカジノなどで使用を禁じられているのと同様に、グラスも一部の場所で使用を制限されるのは自然なことです。無用なトラブルを避けるため、あらかじめ電源をオフにしておくというような対処をとりましょう。

10.グラスがプライバシーを消滅させる

19世紀後半にカメラが登場した時、プライバシーという概念は滅びると人々は考えました。公演や記念碑やビーチでカメラの使用は禁じられました。携帯電話にカメラが装備された時にも、同様な恐怖が世間に広まりました。現代は、かつてない数のカメラが世にあふれている時代です。そして、今後10年の間でこれまでを上回る数のカメラが世間に広まります。それは、グラスがあろうと無かろうと進んでいく現実です。我々の生活のあらゆる場面を記録した写真や映像は、150年に及ぶカメラの歴史と、8年に及ぶYouTubeの歴史がもたらした結果と言えるでしょう。

(Google Glass Info)

The Top 10 Google Glass Myths

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