シリコンバレー在住の日本人プログラマ・堀川隆弘氏が開発したGoogle Glass向けアプリが注目を集めている。「Preview for Glass」と題されたこのアプリは映画のポスターを見るだけで、その映画の予告編ムービーがチェックできるもの。

操作方法は極めてシンプルで、ホーム画面で“ok glass, preview the movie“とコマンドを与え、ポスターを見つめるだけ。米国で公開中のほぼ全ての映画ポスターを認識可能だ。
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YouTubeで公開中のデモ動画では堀川氏が映画館に足を運び、動作を検証した模様が公開されている。

それを見ると、劇場内の『The Wolf of Wall Street』や『47RONIN』のポスターを即座に認識していることが確認できる。一つの予告編を見終わった後は、また別のポスターを見つめるだけで次の予告編が再生される仕様で、実用性をかなり意識して作られたアプリであることが実感できる。
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「Preview for Glass」は既に米国の一部メディアでも高い評価を獲得しつつある。Google Glass Infoでは開発者の堀川隆弘氏に開発の背景を聞いてみた。

――このアプリを開発された経緯をお聞かせください。

以前からコンピュータービジョンやAR/VRの技術を独学で勉強してきており、その技術を生かしたアプリケーションを開発したいと思っていました。GoogleGlassが発売されて、これはチャンスと思い様々なデモを作って公開してきました。今回のアプリのプロトタイプはGoogle+やYouTubeなどでもかなり反響があったため、webサイトも立ち上げて公開することにしました。映画の他にDVDや本、CDなどのアイデアもありましたが、どれも衰退産業なので映画にしました。

――原理的には日本で公開中の映画ポスターにもすぐ転用できるアプリと考えて良いでしょうか?

原理的には転用できます。ただ、日本にはGlassユーザーはほとんどいないので、使えるようにすることは今は考えていないです。

――堀川さんはシリコンバレーの某大手企業に勤務されているとのことですが、日常的にグラスを着用していますか? 周囲から奇異な目で見られたはしないでしょうか?

平日は着用していませんが土日はなるべく着用するようにしています。グラスを着けていると、やはり結構目立ちますね。私の場合はあまり話しかけられませんが、知人のGlassユーザーはすぐ話かけられるので、着用を控えていると言っていました。

――今年1月には映画館でGoogle Glassを着用していた観客が、盗撮を疑われて尋問を受ける事件も発生しました。グラスを着けて映画を見に行ったことはありますか? また、クルマを運転されたことは?

映画館のチケットを渡すところまではグラス着用で行くこともありますが、そこから先では必ず外すようにしています。無用なトラブルは避けたいので。同様にクルマの運転時は必ず外しています。

Google Glass向けアプリは正式にはGlasswareと呼ばれ、Googleの審査を通過した公式Glasswareが現状で40タイトル、専用サイトで公開されている。一方でGoogleが未審査のアプリは、いわゆる勝手アプリの形で開発者が独自のサイトで公開している。

「Preview for Glass」は現状では勝手アプリの状態で、専用サイトを通じて配布中だが、堀川氏によると「公式Glasswareとしての申請も予定している」とのこと。「経験がないので、難易度はわからない」というが、もし公式アプリとして採用されれば、日本人開発者ではじめての事例となることが予想される。今後の動きに大いに注目したい。(Google Glass Info)