映画館でグーグルグラスを着用し、盗撮疑惑で取調べを受けた米国の男性が連行現場の生々しい様子を語っている。 事件発生は1月18日。米オハイオ州のショッピングモール内の劇場で男性は妻とともに映画を鑑賞中だった。

映画の開始から約1時間後、男性は場内に突然現れた捜査官により「顔からグーグルグラスをもぎとられた」と話している。その後、外に連れ出され10名にも及ぶ保安担当者に取り囲まれ、映画を盗撮した疑いで3時間以上に渡り尋問を受けた。男性は「グーグルグラスの電源は切っていた」と主張したが、聞き入れられなかったという。
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アンドロイド関連情報サイトPhandroidの取材によると、男性は「暗い劇場内で他の観客がどう反応したかは見えなかった。私はただ、自分のグーグルグラスが持ち去られないように、捜査官の後を追う形で劇場の外に出た」とコメント。

グーグルグラスは現在、開発者向けに1500ドルで販売されているが、男性の着用していたのはそれに近眼用のレンズ(600ドル)を装着したバージョン。連行の際にグーグルグラスを破損されなかったか、という質問に対し男性は「グラスがダメージを受けることは無かった。手荒に扱われたのは最初だけで、グラスがいかに高価なものであるかを説明すると、彼らは慎重に取り扱ってくれた」と答えている。

結局、盗撮の事実は無かったことが確認されて男性は解放。後日、お詫びとして「2枚の映画鑑賞券」を渡されたが、男性は今でも連行された際の恐怖が忘れられないという。

グーグルグラスの盗撮利用に関する懸念は以前からささやかれていたが、米国では今回の事件に関し「劇場や捜査官らのグーグルグラス対する無知が悲劇の原因」とする見方が高まっている。

昨年12月にグーグルグラスを入手し、“日本初の Glasswareデベロッパー”としてグーグルグラス向け「機内モードアプリ」などを公開中の、あきたじゅん氏によると、

「グーグルグラスで動画を撮ると、モニターは光を発します。暗い劇場内で盗撮なんかすれば、明らかに怪しい状態になる。男性を連行した人々はその程度の基本的知識も無かったことに批判が高まっています」とのこと。

「また、『本当に映画を盗撮するなら、通常のスマホのほうが便利』という声も多数出ています。グーグルグラスはバッテリーの持ちが悪く、連続で動画を撮影する場合50分程度が限界。一方で、スマホなら高画質で数時間の動画を撮影することも可能です。さらに、グーグルグラスのカメラは画角が広く、ズーム機能も無いので、スクリーンを撮影しても小さくしか映らない。合理的に考えてグーグルグラスで映画が盗撮される可能性は極めて低いんです」

今回の件を日本の映画業界はどう捉えているのだろう。

現在、国内でグーグルグラスを所有している日本人は「恐らく100名に満たない程度」(あきた氏)とのことだが、ネット上では一般発売に先がけ先行入手したユーザーたちからの報告も相次ぎ、先日は「写真で一言ボケて」などのサービスで知られる起業家・イセオサム氏がグーグルグラス体験をブログで公開し注目を集めた。

IT業界関係者も多く訪れる「TOHOシネマズ六本木ヒルズ」の運営元・TOHOシネマズに、「グーグルグラスを着用した客が、来場した場合の対応」についてメールで問い合わせてみたところ、下記のような回答が得られた。

「大変恐縮ながら現時点では『グーグルグラス』について、社内で検討・議論されていないため、見解についてもお答えいたしかねます。今後、日本での普及が進み、映画館運営においても何らかの必要性を感じた時点で対応を検討させていただくものと存じます。何卒、よろしくお願い申し上げます」(TOHOシネマズ株式会社 劇場運営部)

「何らかの必要性を感じた時点」というのが一体いつになるのかが気になるところだが、グーグルグラスは本年度中には一般発売が噂されている。「NO MORE映画泥棒」を熱心にアピールする日本の映画業界がどう対応するのか。今後の動きが気になるところだ。(Google Glass Info編集部)

画像引用元:映画館に行こう! http://www.eigakan.org/legal/