“不気味すぎるGoogle Glassアプリ”として知られるName Tagが大幅な機能アップデートを発表した。Name Tagはグーグルグラスの顔認識機能を用い、カメラを向けた相手の氏名やSNS上の情報を即座に表示するもの。グーグルは公式には顔認識機能の使用を認めておらず、開発元のFacialNetworkは昨年12月から、公式アプリストアには掲載されない“野良アプリ”の形で配布を続けてきた。
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今回のアップデートのポイントは、顔認識のスピードが従来に比べて格段に向上したこと。YouTube上のデモ映像では、カメラを向けた有名人の画像を1秒以内に解析し、正確な氏名を表示していることが確認できる。これまでのバージョンでは認識に数十秒を要する場合もあり、まだ実用レベルには達していないという見方が有力だった。

引用:NameTag v2.0 - Facial Recognition on Google Glass Gets Even Better(YouTube)

FacialNetworkは今回の発表に先立ち、マーケティング支援を行う世界的企業、SalesForce.comとの業務提携も発表。ウェアラブルや携帯端末向けに顔認識を活用したアプリ「HospitalityID」を開発し、ホテルや航空業界、娯楽施設などへの導入を進めることで合意していた。

FacialNetwork社のCOOは「ホスピタリティ産業は顧客の満足度の向上のため、常に新しいイノベーションを求めている」とコメントしている。

ただし、同社の試みにはさっそく大手企業からの反発もあがっている。発表資料によると、フェイスブックの顧問弁護士から同社の幹部宛に、フェイスブックのデータの利用中止を求める書状が届いたとのこと。Facebook側は既にFacialNetwork社からのアクセスを遮断している。

これに対しFacialNetwork社幹部は「われわれはフェイスブックの利用規約に違反していない」と反論。「フェイスブックは独自の顔認識機能を開発中であり、彼らの反応は“競合つぶし”だ」と述べている。
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Name Tagはグーグルグラスのプライバシー侵害論争が高まる中で、言わば“火に油を注ぐ“ような形で注目を集めたアプリ。今年2月には米国の上院議員、アル・フランケン氏がアプリの公開延期を要請する書簡を送ったことが、全米のメディアで報道された。

強い批判にさらされるName Tagだが、公式ホームページでは「プライバシーを侵害する意図はなく、これまでオンラインに限定されていたSNSのつながりを、現実社会にまで拡大させることがこのアプリの意義」と説明。顔認識にあたっては「ウェブ上に一般公開された数百万枚の画像から、解析作業を行っている」とのこと。画像が使用されることを好まない人は、専用サイトからオプトアウト方式で利用中止を求めることも可能となっている。(Google Glass Info)



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プレスリリース:FacialNetwork Releases New Demo Of Facial Recognition App NameTag On Google Glass, Receives Cease And Desist From Facebook