2012年のGoogle I/Oで初めて世に出たグーグルグラスは、登場からはや2年以上が経過。未だ"開発者向けのベータ版"という位置づけだが、今年6月には米国に続きイギリスでの販売も開始。一部では「日本での発売開始も近い」と噂されている。この記事では2014年上半期のグーグルグラス関連の重大ニュースをまとめてお伝えする。

1. グーグルグラスの業務活用プロジェクト「Glass at Work」が始動

6月16日、グーグルはグーグルグラスをビジネス現場に活用する公式パートナー5社を発表。このプロジェクトは「Glass at Work」と呼ばれ、選出された企業はグーグルから開発支援が受けられるだけでなく、協同でブランディングを行う機会も与えられている。
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医療向けにグラスを活用するAugmedixやWearable Intelligenceの2社をはじめ、物流現場での活用を推進するAPX Labs社、スポーツや医療行為のライブ中継を行うCrowdoptic社、美術館などのアートイベントでの利用を促すGuidiGO社が選ばれた。

選出された企業の中にはベンチャーキャピタルから巨額の資金調達に成功した例もあり、APX Labs社はNEAから1000万ドル(約10億円)の出資を獲得。同社にはその後、グーグルでGlass at Workプロジェクトの統括責任者を務めたエリック・ジョンセン(Eric Johnsen)氏が、ビジネス開発部門の責任者として、言わば“天下り”のかたちで移籍したことも話題になった。


2. 着々と進む「日本発売」への準備

現状では米国及び英国で発売中のグーグルグラスだが、「日本発売への準備」と思われる事実が次々と明らかになった。4月中旬のアップデートでは「リソース内に大量の日本語が含まれている」ことが発覚。 
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さらに、同時期にグーグルグラスが総務省の「技術基準適合証明」(技適)を取得していたことも明らかに。 5月には広島で総務省が主催する観光アプリの実証実験も実施されるなど国内での発売に向けた動きは加速している。

国内展開を見越し、初音ミクを起用したアプリなど、日本人向けアプリの開発も進行中。独自のスマートグラス「mirama」で知られるブリリアントサービスは天気予報アプリ「雨降りアラートGlass - お天気ナビゲータ」を発表。「近日中に開設予定のGoogle Glass向けアプリストアの公開に合わせ、無料でリリースする」としている。
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3. 英ヴァージン航空など、航空業界での活用が活性化

グーグルグラスを航空業界で最初に導入したのは英・ヴァージン航空(2月)。日本航空も既にハワイで導入実験を実施中のほか、ドイツのコペンハーゲン空港では11台のグーグルグラスを用意して実証実験を実施。中国の春秋航空も「グーグルグラスを活用した機内サービスを実施する」と発表し、話題を呼んだ。
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4. 相次ぐ「グーグルグラス強奪事件」の発生

その注目度の高さゆえ、思わぬ騒動に巻き込まれる事態も多発したグーグルグラス。2月にはサンフランシスコで女性ライターがバーでグーグルグラスを強奪される事件が発生したのに続き、4月にはニュースサイト「Business Insider」の記者がサンフランシスコの路上で強奪事件に遭遇。
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サンフランシスコでは一部の市民らが「家賃相場を高騰させた元凶」として、グーグルなどのIT企業を敵視しており、“反グーグル・デモ”も発生。「グーグルグラスが格差の象徴になった」との見方も浮上した。
 
5. イギリスでの販売がスタート

米国以外では初の海外展開となる英国での販売がスタートしたのが6月24日。ロンドンには“専用ショールーム”がさっそくオープンし、英国を代表する小売チェーン店、TESCOも専用アプリをリリースした。
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6. グーグルグラスの開発責任者がアマゾンへ移籍

グーグル内部のグラスチームの人事にも注目が集まった。今年5月には主任エンジニアのAdrian W氏がOculus VRへ転籍。プロジェクトの最高責任者には元GAPのマーケティング責任者、アイビー・ロス氏が就任した。さらに、6月にはグーグルグラスの生みの親の一人とされる、元開発責任者、Babak Parviz氏が辞任。アマゾンへ移籍を表明した。
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7. テレビ東京 大江アナの“Google Glass着用リポート”が話題に

年明け早々の1月8日、日本の女性アナウンサーとしては初の「グーグルグラス着用リポート」を行ったのが、テレビ東京の大江麻理子アナウンサー。当時はニューヨーク支局勤務だった大江アナは「ワールドビジネスサテライト」の番組内で流暢な英語でグーグルグラスを操作する姿を披露。街の屋台では翻訳アプリ「Word Lens」を用い、スペイン語の翻訳にもチャレンジしたほか、グーグルグラスを取り巻く米国の最新事情リポートも注目を集めた。

8. “グーグルグラス運転”に無罪判決 被告女性が喜びの会見

グーグルグラスを着用して自動車を運転。世界初の交通違反に問われた女性に対し、米国サンディエゴの裁判所が違反を取り消す決定を下したのが1月16日。カリフォルニア州在住のセシリア・アバディさんは、注意散漫運転とスピード違反で交通違反切符を切られていたが「証拠不十分」の形で処分取り下げになった。記者会見では「現在の交通法規はテクノロジーの発展に追いついていない」と持論を展開した。
9. デザイナー版グーグルグラス 1800ドルで販売開始

企業などで業務利用が進む一方、グーグルが力を入れているのがファッションブランドとコラボした“デザイナー版”グーグルグラスの普及。6月23日には米高級ファンションブランド「ダイアン フォン ファステンバーグ‎(DVF)」とコラボしたグーグルグラスを1800ドルで販売開始。

これに先立ち3月には、レイバンやオークリー、オリバーピープルズなどのブランド眼鏡を販売するイタリアのルックスオティカ社との事業提携も発表している。
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10. イタリアの国立オペラ劇場が舞台中継にグーグルグラスを使用

米国ではNBAやNFLなどスポーツ中継での活用が進むグーグルグラスだが、エンターテイメントの分野で大きな注目を集めたのが、イタリアの国立オペラ劇場の取り組み。カリアリ・オペラ劇場が上演中の『トゥーランドット』で、出演者や劇場スタッフらがグラスを着用。様々な視点から見た舞台の模様を、TwitterやFacebook、instagramなどのSNSで配信して話題を呼んだ。
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以上、2014年度上半期のグーグルグラスを取り巻く動きをざっくりとまとめてみた。今後のさらなる販売国の拡大、そして待望の"一般バーションの発売"といった動きに期待していきたい。(Google Glass Info)