グーグルグラスというと、多くの人の脳裏に浮かぶのが、漫画『ドラゴンボール』に登場したスカウター装置。漫画では通信機能と生命体探索機能を兼ね備えた片眼鏡型のデバイスとして登場するスカウターは世界的に有名で、海外でもわざわざ日本からコスプレ用のスカウター商品を取り寄せる人が少なくない。
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今回紹介するのは、そんなスカウター機能をグーグルグラスで実現する、「ありそうだと思ってたら、やっぱりあった」的アプリ「Glascouter」だ。開発にあたったのは以前当サイトで紹介した、シリコンバレー在住の日本人プログラマ・堀川隆弘氏。堀川氏が公開中のGitHubのリポジトリからダウンロード可能だ。
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使い方は至ってシンプル。アプリをインストールし、コマンドで「Start a scouter」を選択するとアプリが起動。"LOOK AT THE FACE TO READ THE POWER LEVEL"という説明と共にGoogle Glassで撮ったカメラ映像がリアルタイムで表示される。

顔を動かし画面の中に人の顔が映ると、顔が認識されて効果音とともに戦闘力が測定される。「こいつ、普段はおとなしい顔してるのに、戦闘力12万だと…!?」といった具合に楽しいアプリとなっている。
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顔の認識には、Android用のopenCVが活用されている。openCV(正式名称: Open Source Computer Vision Library)は、1999年にインテルが開発・公開したオープンソースのコンピュータビジョン向けライブラリ。2000年のCVPRという国際学会で最初のアルファ版が公開。当初はC言語での記述にしか対応していなかったが、バージョンアップを重ねるにつれサポートする言語が増え、Androidで用いられるJAVAによる記述も、バージョン2.4.4から可能となった。

「Glascouter」は、アプリのアルゴリズムとしては単純で、カメラ映像から顔の領域を抽出し、ランダムに戦闘力を決めて表示している。しかし、ここで注目したいのは、スカウターという発想の面白さもさることながら、顔認識をGoogle Glass上で行っている点。

Google Glassの最大の強みと言えるのが、ハンズフリーで写真や動画が撮影可能で、その映像を利用したアプリが開発可能な点。今後はその利点を活かし、顔認識を用いたアプリが次々と出てくることも予想されるが、このアプリはその先駆けといえるだろう。

しかし、グーグルグラスを用いた顔認識は、今後このデバイスが普及すればする程、議論を呼ぶテーマとなることは間違い無い。グラスを用いての撮影は大変便利ではあるが、プライバシー侵害への懸念が高まっているのも事実。この点に関しては、Google側も慎重な姿勢をとっており、顔認識を用いたアプリを公式には認めない方針をとっている。

グーグルグラスというデバイスが持つ可能性や便利さは、このプライバシー問題と対立構造にあり、グラスが社会に浸透する上で大きな障壁として立ちはだかるだろう。

ただし、プライバシーを過剰に意識することによって、このデバイスの良さが損なわれてしまうことは大変もったいないことであるし、逆にただ機能だけを追求してプライバシーを無視した開発を行ってしまうことも避けなければならない。この両者の対立構造が、今後どのように変化していくのか、注目していきたい。(桐谷修二 @shuji615

thorikawa/Glascouter · GitHub